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「こどもっていろいろわかってる」と思う話

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「ものづくり こころづくり」

「ものづくり こころづくり」_f0148974_2153523.jpg
こんにちは。
先日は、高根沢町の保育士研修会に呼んでいただきました!
ということで今回は研修の内容からリポートしたいと思います。

僕の研修会は一般的な造形・制作の講座とは少し違っていまして。
ふつう造形の研修というと、先生たちは新たな手法や題材を知ることが中心になりますが、僕は先生にとって一番大切なことは、手法や題材を増やすことだとは考えていません。
なぜなら、それらはすでにたくさんありますし、子ども達はその中で十分に深めていくことができると思うからです。

ではなにを大切にしているか。
それは、

表現活動を通して、子ども一人ひとりはどんな姿を見せてくれるのか。
そして保育士はその姿をどれくらい見ることができるか。

という視点です。
それは、絵や作品から子どもの内面を分析しようとかいうこととも違って。
ただありのままのその子の行動に対して、
その子の目線になってみるということです。

例えば現場の先生達からよく聞くお話で、
「絵を描かない子がクラスにいる。どう教えたらいいのか。」
というのがあります。

だけど実はこの問い、すでに肝心なポイントを一つ飛ばしてしまっています。
それは、

この子はなぜ描かないんだろう?

ということ。
絵を描きださない理由を想像してみると、
もしかしたら、単純に絵を描きたい気分じゃないのかもしれないし。
もしかしたら、イメージは湧いているけれど、それをどんな風に描けばいいのか考えているのかもしれないし。
あるいは、周りの目や評価が気になって、臆病になっているのかもしれないし。
はたまた、一回説明を聞いただけでは方法がわかっていないのかもしれない。

こんな風に理由は子どもたち一人ひとりの分だけあるんです。
だけど、ついつい全員が完成させることばかりに意識がいってしまうと、その根っこを見失ってしまう。
そして「どう教えたらよいか?」という視点だけになる。

しかし、「どう教えたらよいか?」というのは、
「説明やアドバイスを求めている子どもに向けた視点」であって、
「絵を描かない子どもに向けた視点」ではないんです。

それでは、絵を描かない子の様子を見て、先生たちがその子の理由にどれくらい想像力を働かせて、一人ひとりの考えや気持ちにどれくらい寄り添うことで、どんなことが生まれるかというと、それも一人ひとり違います。

説明がわからなかった子は、あらためて教えてもらえることで、はりきって活動に向かうかもしれませんし。
気分じゃなかった子は、その心に寄り添ってもらえることで、スッキリするかもしれません。
評価に不安を感じている子は、先生がその不安を取り払ってくれることで、自分らしい表現ができるかもしれません。
こうやって一人ひとり、そのあとの反応も違うんですよね。

だけど。
これらにも一つだけ共通していることがあって。

それは「心がある。」ということ。

描きたいと思うから描く。
作りたいと思うから作る。
やってみたら「面白い」「もっとやってみたい」と心が動く。
やってみたら「合わない」「他の手法の方が好き」と心が動く。
表現は心からはじまるのです。

造形や制作といった表現活動には、方法や道具に出会えるという大切さはもちろんありますが、もう一つの醍醐味は、表現することを通して、自分の心を発見することです。

ものづくり。
心づくり。

現場の先生たちにはあらためて、意識してほしいと思います。

子どものものづくりに対して、助言や評価をすることは、
子どもの心づくり、心に対して、助言や評価をすることにもなるということを。

そのことを意識したら、
自分が先生だから、相手が子どもだからという理由では、
簡単に助言や評価なんてできないのではないでしょうか。

だからこそ僕も、その心一つ一つと丁寧に関わらせてもらえればと思っていますし、
人数が多くて関われないにしても、関われない心をひとくくりにして、雑に扱うことはしないと肝に命じています。

子どもたちが表現することで感じる嬉しさや喜び、葛藤や悔しさ、
そういう全部の心づくりに寄り添って、丁寧に子ども達の心を見ていける先生になれたらいいですよね。

と、先生たちとそんな話をさせていただきました。

研修後の先生たちの感想には、

「制作の活動に対して苦手意識があったけど、気持ちが楽になった。」

というのがいくつかありました。
結果や完成にとらわれると、先生たち自身の子どもへの心も、見失ってしまうのかもしれませんね。

心の余裕を取り戻した先生達をみていると、明日からきっと、ますます子ども達の魅力を見つけていくのだろうなぁと、僕も嬉しい気持ちにさせていただきました。

これからも子どもたちの心を大切に、そして先生自身の心を豊かに、これからも楽しい表現活動の時間を過ごしていってくださいね(*^^*)
参加してくださった先生たち、本当にありがとうございました。今度はぜひ子どもたちとも一緒にワクワクできる日を楽しみにしています♪
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by doughnut-official | 2013-11-06 21:09 | 研修会・講演
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