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DONUT WORKSHOP REPORT

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「子どもたちの虚像と実像」

こんにちは!
今日のリポートは竹林保育園・石井保育園の子育てサロン合同親子講座の様子です。
こちらでは三年目の恒例企画となった、えのぐあそびのワークショップを行いました。
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親子50組が集まり、会場には全長20Mの大きな紙とたっぷりの絵の具、そして筆を200本用意して、ワークショップのはじまりです。

もちろん、子どもたちにとってのワクワクのポイントは、絵の具やクレヨン、ロール紙だけでなく、この広い体育館、大勢のお友達、など色々とありますので。そんな様々な刺激が混ざり合う空間で、思い思いに自分の「やりたい!」を選んで過ごしてもらいましたよ。
今日はその中から一人の女の子、2歳のAちゃんを紹介したいと思います。

2歳の集中
巨大ロール紙があたり一面広がると、Aちゃんは迷わず筆をとり、紙に向いました。
筆をペタッと紙におき、動かすと、そこには線が表れます。
それを見ながら、自分の体をどう動かすとどのように線がひけるのかを確認したり、
絵の具ののび具合、絵の具のまざり具合を発見したりしているようでした。
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その夢中な姿を見て
「どれくらい描いているでしょうね。」
と僕が彼女のお母さんに言いました。
すると
「ゆっくり見てみます。」とお母さん。
ワークショップの間中、本当に穏やかに娘の姿を見ていました。

そうして気づけば一時間が経過。
彼女ははじまりからおわりまで、ひたすらに絵の具を楽しんでいました。
これが2歳の彼女の集中です。

2歳の決着
僕はその姿にウキウキしながらも、他の子どもたちはだんだんと遊びをひきあげていき、会場自体も終了の時間が近づいていたので、「そろそろ終わりにしないとなぁ。」と思いつつ、できればギリギリまで彼女が自分で終わるタイミングに寄り添いたいなぁと考え、様子を伺っていると、彼女はさらに魅せてくれました。

Aちゃんのその日の遊びの過程はというと、はじめは筆を使ってのあそびから、終わりごろには手や足を使っての感触遊びになっていったのですが、最後に、もう一度筆をもち、彼女はいくかのマルをかきました。 

シュッ シュッ シュッ シュッ。

そして身体をおこし、上からそのマルを眺め、息をふうっ吐き出してから、ニッコリつぶやきました。

「オッケー!!」

そしてお母さんの顔を見てもう一度、ニコッ。

「おわりにしようか。」

とお母さん。

「うん。」

とAちゃん
こうして、彼女は自分の遊びに、自分で終わりにしたのでした。
これが、僕の見せてもらったAちゃんの決着です。
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子どもたちの虚像と実像
小さな子どもたちの活動を考える時に、
「一つのことには集中力がもたない」「色々と展開して、子どもが飽きないようにするのが良い保育」というイメージをもっている人は、まだまだ少なくないようです。

しかしAちゃんをみたらどうですか。
それは一部の大人の勝手な先入観のように思えます。

本当は小さな子どもたちには集中力がないのではなく、
「面白ければ集中する、けど、つまらなければ我慢や付き合いではやらはしないし、次のことを探しにいっちゃうよ」というシンプルなことなのではないでしょうか。
僕は目の前の子どもたちや、Aちゃんを見ていると、そう思います。

そして、このシンプルさが、実は小さな子どもには集中がないという誤解を生み、子どもの虚像を作りだしているのかもしれません。

その誤解を、子どもと大人の姿の対比から整理してみましょう。
たとえば大人は、その活動自体がつまらなくても、集中していなくても、一時間黙って座っていられますよね。
反対に小さい子どもたちはつまらなければ座っていません。
他に面白いことを見つけにいきたいから。
一方は座っているし、もう一方は座っていない。
でも、集中してないのはどちらも一緒。
だから、この差は我慢の差であって、集中の差ではないのです。
ここの違いを、ちゃんと理解しておくことが大切なように思います。

もし今日僕やお母さんがAちゃんを誤解していたら、つまり
「2歳3歳の子どもは集中力が続かないし、自分のタイミングで切り上げることもできない、
だからうまくこちらで導いていこう。」という考えで流れを組み立てて進行し、Aちゃんに必要以上に声をかけていたら、

彼女はこれだけの力を発揮する場面はなくなってしまったのでしょう。
彼女がこれだけの力を持っているという事を知ることもできなかったでしょう。

お母さんのアンケートにも嬉しい発見が書いてありました。
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こんな姿を見せてもらうと、いつも思います。
大人が勝手に子ども像を決めて、あてはめてはだめだよなぁと。

僕たちは日々、学びます。
理論や知識だけでなく、経験による知恵も増えていくでしょう。
しかしそれはいつも目安であって、目の前にいる子どもたちの姿に勝るべきものではないということを常に思っておくことが大切なのだと思います。

大人の子どもに教えよう・導こうという考えが、
子どもたち自身の力を発揮するチャンスを奪うことになりませんように。

参加してくれた皆さん、ありがとうございました(*^^*)
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by doughnut-official | 2013-07-08 07:38 | 親子のWS
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