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DONUT WORKSHOP REPORT

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「汚れることをなくさない」

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なくさないシリーズ二回目は、汚れることについて書こうと思います。
クレヨンであそぶ、絵の具であそぶ、泥んこであそぶ、新聞紙であそぶ、etc
夢中になっているうちに、体や服が汚れてしまう遊びっていっぱいありますよね。

そんな遊びを大人だけの目線で考えると、中にはついつい
「汚れたら洗濯が大変」「せっかくの綺麗な洋服が台無し」
なんて思う親御さん、あるいは
「親に迷惑をかけられない。」「親からクレームがきては困る。」
なんて思う先生もいるでしょう。

しかし、もしそれらの遊びに対して、汚れることのデメリット以上の価値を見出せたなら、
きっと汚れるという理由で制限されることは今より少なくなるだろうし、子どもたちの体験が、もっともっと豊かになっていくのではと思います。

ということで、今日は砂遊びを例にして、その中にはどんな体験が隠れているのかを掘り下げてみようと思います。
みなさんも砂遊びをやっているつもりでイメージしながら読んで いただけると嬉しいです。

それでは、砂遊び実況スタート。

まずは砂に触れ、つかんだり、落としたり、両手でかきあつめたりしてみます。
サラサラして気持ち良いなぁ。
ヒンヤリして気持ち良いなぁ。
指先や手のひらから、砂の感触・温度を感じました。

そうして触って遊んでいると、砂の表面には指の跡で線ができていました。
その線をみて今度は想像力がはたらきます。
「あ!道だ!」
砂にできた線は、道になりました。

道になったら、今度はまた新しいアイデアが。
「道に何かを通してみたい!」
それでまた考えます。
「道に通すのは何がいいだろう?」
まずは指で何度かなぞってみました。
「うーん、指ではちょっと物足りないなぁ。」
「動きがあるナニカを通せないかなぁ。」
「それも自分で動かすのではなく、それ自体が動くナニカを。」

周りを見わたしてみても、うまく動いてくれるものはなさそう。

「うーん、どうしよう。」
自分の今までの体験と情報をフル稼働させて、
今の自分に用意できるナニカを、さらに考え続けます。

もう一度あたりを見まわしてみると、目線の先に水道を発見しました。

「そうだ!水を流そう!!」

自分の知識と経験と予想が結びいた瞬間です。

早速バケツで水を汲んできて、一気に水を流します。

ザバーッ。

すると道はたちまち崩壊しました。

「あらら。壊れちゃった。」

もう一回、道を作ろうとして、水を含んだ砂、つまり泥をさわってみます。
「あれ?」
さっきとは違う感触に気づいて、指でなぞると、さっきより形が残りやすいことを発見しました。
「水をかけたら、砂が固くなったぞ。」

と、まぁしかし、この発見はさておいて、まずはもう一回水を通したいのが今の気分。
あらためて道を作り、水をくんできます。

「さぁ、流そう!」
とはやる気持ちを感じながらも、ここで一旦ストップです。
さっき勢いよく流しすぎて、道が壊れたことを覚えていますから。
今度はさっきよりもそうっと、バケツを傾けます。
自分の身体の力の使い方を加減して、調節して、水を流すのです。

スーッ。

静かに道を流れていく水。

「やった、道が通った!」

見事、道に水を流すことに成功しました。

***

砂遊びの展開は他にも様々あるでしょう。
「道をどんどん作ろう。」と長くしたり、
「山を作ろう。」「トンネルを作ろう。」と立体的な造形をしたり、
「Aくん、Bちゃん、一緒にやろう。」と仲間と協同作業になるのも楽しそうですね。
あるいは、さっきの発見を思いだして。
「水に濡れた砂の感触面白かったなぁ。丸めると形になるぞ。」
「あ!これはお団子だ!」「これはおにぎりだ!」
というのもいい。

こんな風にして、子ども達は、頭と身体、五感や知識や経験や想像、そういうものをフルに使って遊んでいるのです。

とはいうものの、
今回は遊んでいる最中に思ったことをわかりやすく「」をつけてセリフにしましたが、実際は言葉で表現しながら遊でいるわけではありません。

だから大人には見えにくい。
見えるのは服や手の汚ればかりで。

しかし、見えにくいからといって、そこに価値がないというわけではありません。

そもそも、なぜ汚れるのかというと、
汚れる性質のモノ・コトは、汚れないようにと、簡単には自分のコントロールが効かないということで、
汚れる活動=コントロールが必要な活動といえるでしょう。

だからこそ、何度も経験して、考えたり、工夫したり、発見したり、調整したりする育ちの時間となるのです。

僕は、子どもが服や物を汚さないことよりも、
大人が子どもの育ちを汚さないことのほうが、ずっと大切なように思います。
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by doughnut-official | 2013-05-10 23:52 | コラム・エッセイ | Comments(0)
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